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11.上大岡へいこう
しばらくしたある日、技術を終えた後いつものように店長のTさんに“次回の予約は?”と聞かれたので、“一度上大岡店に行ってみたいのですが”とお願いした。Tさんは上大岡店に電話をかけてくれ、丁寧にKさんの時間の確認もしてくれた。僕はもちろんKさんに会いたいわけだし(笑)、その心遣いがうれしかった。でも、これを言うことは僕の中では少し勇気が必要なことだった。正直、こんなことを考えていた。
銀座店からしてみれば、自分の店の会員が他の店に行くことで気を悪くしないだろうかということがひとつ。いいかえれば、僕が銀座店を好きじゃないから他の店に行きたがると思われたらいやだなということだった。銀座店は地理的にも会社の帰り道に通いやすいし、Aさんをはじめエステティシャンはいい人ばかりだったから不満があるわけなかった。あくまでメインは銀座店であった。
上大岡店からしてみれば、上大岡店の会員でない(上大岡店にて技術の申し込みをしていない)客が来ることを快く思うだろうかという言う心配があった。客の僕が考えることではないとわかっていたが、売上にならない仕事(実際のシステムは知らないが)だろうな…などと考えてしまった。もうひとつ、Kさんに会いに上大岡に来たような僕を、他のスタッフが正直歓迎するだろうかという不安があったのも事実である。
僕にとって、上大岡店に行きたい理由はいくつもあった。
- Kさんに久しぶりに会うこと。
- 金沢文庫にマッサージに行った帰りに立ち寄れて便利なこと。
- とにかくハウスの他の店も一度みてみたい… などである。
☆
初めての場所に行くときは期待と不安が混じるものだが、今回も例に漏れずそんな気分で上大岡店へ足を運んだ。京急の駅を降りて少し迷ったが、三越の7Fということですぐにわかった。しかし、どうして同じフロアに中華料理屋と寿司屋という僕の大好物が同居しているのだろう… 帰り道に素通りするのが大変である(苦笑)。
ドアを開けるとすぐに、久しぶりのKさんの笑顔が飛び込んできた。店長のIさん(仮名)も元気な表情と甲高い声で僕を歓迎してくれた。この時僕は来て良かったと思った。
上大岡店は銀座店に比べこじんまりしていて、落ち着いた感じがした。そして出来たばかりの店だから非常にきれいである。スタッフはもう一人の京風の女の子(僕から見た)Yさん(仮名)と3人で銀座店の半分であったが、チームワークがよさそうに感じられた。
早速着替えることになったが、土足のまま更衣室に入るようになっていて、こんなところにも銀座店との違いがあった。ほかにはトランクスがフリーサイズになっていて、銀座でいつもOサイズを選んでいる私には少しきゅうくつだった(苦笑)。技術室のレイアウトも違ったが、やることはいっしょだった。サウナに入り、いつものように大量に汗をかいた僕をはじめてみた店長は“良く汗が出ますね”とびっくりしていた。期待していた以上にリラックスした時間を送れた僕は“今度はKさんにヒーリングをしてもらおう”とシャワー室で思っていた。しいて要望を言うなら、シャワー室に小さなタオルをおいてほしいということと、デブ用のトランクスをおいてほしいといったところだろうか…。僕は今後金沢文庫から上大岡へとマッサージづくしのリラックスデーを月に一回くらい作ることが出来ると思い、うれしくなってきた。
☆エステティシャンの七不思議
うれしいです…、たのしみです…、ひどいです…、きけんです…
どうして語尾にですをつける人が多いのだろう…。
12.サ-ビスチケット
2月の始めに、僕にとってうれしい事があった。無くしていたと思っていた時計が見つかったのだ。結局ハウスのロッカーに置き忘れていたのであるが、僕もまさかハウスにあるとは思っていなかったし、ハウスのほうもまさか僕の落し物とは思っていなかったので聞かなかったとの事だった。うれしさのあまり“ここに来ていままでで一番うれしかった”と店長に言って怒られてしまった僕だった。でも本当に好きなデザインで気に入っていたものだったので、ありがたかった。
☆
それからほど無くして、サービスチケットをもらった。一万円のチケットが3枚ということで、結構な大判振る舞いに見える。が、残念というかうまいというか5万円以上の買い物をした場合につき1枚使用可能ということで、結局新しい申し込みをしなけりゃならないことになる。しかし、関西人でありとりわけ割引とかサービスというものに弱い僕はすっかり作戦に乗せられてしまい、ついヒーリングテラピーを申し込んでしまった。実はヒーリングは昨年一杯特別キャンペーン中(何と15回分の料金で30回のサービスが受けられた。これが1回分の値段で2回出来るのであれば申し込んだのだが…)だった時にどうしようか最後まで迷っていたので、2.3回はやってもいいだろうという気持ちもあった。
余談だが、技術中の雑談で、こんなサービスもありますよという斬新かついいかげんな提案をした。いくつか紹介すると…
- 全国サロンスタンプラリー
ハウスのお店を全部制覇すると10万円の商品券
- 体重を当てようキャンペーン
技術後の体重を0.05までぴたりと当てれば、2000円割り引き。
- プロモーションソフト(エステに行こう)の配布。
パソコンを持っている人しか使えないが、日頃の食事や生活態度を入力すると体重の増減がシュミレーション出来るゲーム。テレビゲームのソフトでも良い。当然の事だが、技術後の帰り道の飲食は大きな減点になり、店長の暖かいお説教が受けられる。
以上、ヒマなときにだれか検討してください(笑)。
13.何気ない日々
その後も僕は引き続き週二回のペースで銀座のハウスに通っていた。Aさんをはじめとしたエステティシャンの技術と暖かい(?)アドバイスに恵まれ、落ち着いた日々を過ごしていた。先日買った“デブ1/2”の効果もあるのか、少しずつ体重が落ちてきていた。77~78kg台で安定し、会社の中でも“最近やせた?”などといわれるようになってきていた。
入会して最初に受けたヘルスチェックを改めて受けた所、身体の状況はかなり改善されてきたようだったし(もっとも以前から健康診断などでは特に問題は無かったし、お酒を飲む割には肝臓も丈夫であった)。身体のサイズを測るメジャーリングでも、ウエストが3センチくらい細くなってきていた。会社で着用するスーツも以前に比べかなり余裕が出てきており、何より窮屈さより解放されたのは本当にうれしかった。もう一つ、以前より脂っこいものを好まなくなってきた。仕事の都合などで夜遅くたまに脂っこいものを食べると、次の日は気分が悪くなったのにはびっくりした。ほんの4ヶ月前までは毎日していた事なのに…。Aさんにいわせるとそれが本当の姿だということになるのであるが…。
物を食べるときは、とにかく無理して食べないように気をつけた。以前スナック菓子を愛用していた頃は、一度食べ始めたら最後陸上100M走の様に袋が空になるまでひたすら全力疾走で食べ続けていた。そんなことはやめて少しずつ食べ、食べ過ぎたなと思えばすぐにやめることを心がけた。そして食べたくなったときはスナック菓子ではない(?)あられやおせんべいを(この辺の違いは非常に微妙なのであるが、以前にも書いた通り本人にとっては大きな意味を持つ。)少しずつ食べ、無理してがまんする事はしなかった。お酒については相変わらずだったが、おなかや胃が苦しくなったときは無理して飲まないようにした。よくある“もう一杯飲んでやめにしよう”も極力避けた。それだけでも少しは違うのである(笑)。
☆
以前にも書いた通り、僕はハウスには大体水曜日か土曜日に通っている。そのうち土曜日は休日という事もあり、前日の金曜日はたいてい行きつけのお店に夜遅くまで立ち寄り1週間のストレスを発散している事が多かった。従って土曜日に“昨日お酒を飲みましたか?”ときかれればYESもYESで、“午前3時まで飲んでました。”という事になるのである。聞いたエステティシャンはたいてい唖然とした表情になり、そしてしっかりそれがカルテに記入されるのである。変な言い方だが、わざとやっているわけではもちろんなく、1週間のライフサイクルがそうなっているとしか言いようがないのである(苦笑)。
でも信じてもらえないかも知れないが、面白い事に僕にとってその事は体重増加にはつながっていないと考えている。なぜかといえば、近頃入浴の際には毎回体重を測っているが、木曜日に比べてそんな生活を送った時の土曜日は体重が減っている事がほとんどなのである。理由はわからないが、飲むときには逆にさほど食べない事かなとも思うし、ひょっとしたらハウスに行く日になると身が引き締まる(笑)のかもしれない。この事は自分でも不思議であり、お酒を止めない自分にとってはきわめて都合の好いことになっている。いくら僕だって、これで体重が3キロ増えるなんてことになるなら絶対にしないのであるが…。
そんな事をしながらの何気ない日々を送りながら、2月が終わろうとしていた。
14.コースの継続?
3月に入り、最初に申し込んだコースの残り回数が少なくなってきた。これまでの成果について不満はないものの、この先更に継続(投資)する事が有効かどうかの判断は決めかねていた。
先日もスタッフが継続するようにかなり説得したにもかかわらず、コースを終了した人がいた。理由はわからないが、費用と効果を天秤にかけたものだろうという想像が出来た。
今後を考えた場合僕は、2つのことが気になっていた。
- 今までの僕の取組み方から考えて、当初期待した通りの効果が出ているのか?
- 今後も僕の生活習慣を変えないで更にコースを継続した場合、どれほどの効果が得られるのか?最終的にあと何回くらい技術を受ける必要があるのか?
ケースバイケース、人によって違うことはわかっていた。効果は自分自身で判断するものだとも思う。しかし、たとえばずっと言われていた体質改善についても客観的に見て今の時点でどのくらいまで進んでいるのか、そして今後のハッキリした見通しについて知りたかった。ただいたずらにだらだらと継続する事になるのはいやだった。残り回数が5回を切ったある日、僕は今後継続する場合どんなコースを何回受ければいいのか教えてほしいとお願いした。
1週間たって、回答が帰ってきた。残念だけれどその内容はぼくにとってがっかりしたものだった。
一つは、初回申し込んだコースを上回る回数が必要といわれたこと。
⇒(だったら、最初の説明のときにもっと多くの回数が必要とか、違った話をするべき
だったでしょう…)
もう一つは、それを行った場合どのような成果が期待できるのかはっきりと説明されな
かった事。
⇒(いったい、人の(お金の)事を何や思てんの…)
といった不満があった。
仕事上僕も経験があるが、物を買ってもらう(投資してもらう)必要性があるという事を(その物について詳しくない)御客様にわかってもらうのは大変難しい事である。今の僕からしてみれば、技術を受ける事での効果は今までの経験でわかる。だけど、なぜ今後それだけの回数が更に必要なのかが全く理解できなかった。エステティシャンの目からすれば当たり前にわかる事であっても、それを僕にもわかるように教えてほしいのである。それがわからないと僕は継続しようという気にはなれなかった。その日はがっかりしてハウスを後にした。その後しばらくそんな状態が続いた。
☆
とはいうものの、最終的には自分が決めなければいけないので今後のことを考え始めた。正直言って今回提示されたコース案をそのまま今申し込む事はいろいろな事情で無理だったので、やるなら部分的にするしかないと考えていた。やはり現状と今後の効果がわからないと何とも言えないのだが、もう少し技術を追加する必要性はあると思ってはいた。なぜなら入会時の説明のときにも36回コースを提示されていたのだが、その時に払える費用の関係と、それでもある程度の効果は出せると店長の言葉で今の24回コースにした経緯があるからだ。僕は2つの事を検討していた。
一つは言うまでも無く費用の工面である。僕は入会時の申しこみでローンを利用しなかった事をいまさらながらよかったと思った。そんなものがもし残っていれば今の時点で追加の投資はギブアップである。従って今回も先の事を考えて一時金+次のボーナスで払える範囲にコースを設定しなければいけないと思った。いろいろな意味で会員として気持ち良くコースを消化していくためには、その事はどうしても必要だった。
もう一つは本当に今のコースが最適なのかという事であった。入会時と違い、いろいろと話を聞く上で、ダイエットに取り組む上でやっていい事と悪い事を少しはわかってきていたし、自分の力でやっていけそうな気もしていたのである。しかし、酒を止められない人間には今の時点でのリバウンドを押さえ込む力は無さそうであった。結局は体質改善と体重の推移をもう少し見極めようと自分を納得させ、もう少しハウスとお付き合いする事にした。もちろん、普段から通っていて楽しい場所だったからでもあるのだが…。そして、今回勧められたヒーリングテラピーも取り入れようと思い、週に1回痩身を銀座で受け、2週間に1回上大岡でヒーリングを受ける自分なりのスケジュールを組みたてた。
☆
継続を決心してからしばらくした3月の末に、T店長と入会時からお世話になっていたもう一人のエステティシャンが異動することを聞かされた。残念だったが今後も銀座店でAさんをはじめとした皆さんにお世話になろうと思っていた。そんな僕は、4月に入ってすぐに大きなショックを受ける事になる。
☆エステティシャンの七不思議
仕事中いつどうやってご飯を食べているのだろう………。
15.異動(2)
4月に入って後任の店長に僕がハウスに入会した(させてくれた)当時の店長が戻ってきた。以前もそんなによく話していたわけではなかったが、入会時の僕を知ってくれている人が戻ってきたのは心強かった。
しかし、3月末からの忙しい日々が4月になっても続いており、なかなかハウスには行けなかった。そしてなんとか9日の予約を取ろうとして、ハウスに電話を入れたらAさんが出てくれた。9日も用事があり、朝一番に予約がとれないとつらいところだった。Aさんは電話の向こうで必死にやりくりをして、僕のための時間を作ってくれた。僕は改めてそんなAさんの一生懸命さが好きになった。
☆
9日にハウスに行くとAさんが笑顔で出迎えてくれ、(技術中であっても、いつも誰かが出迎えてくれるのである。)二言三言話をした。ここまではいつもの光景である。ところが次にAさんの口から出てきたのはAさん自身の異動の話だった。
ぼうぜんとした僕は、やっとの事で聞き返した。
“どこへ…”
Aさんは“宇都宮”と答えた。
びっくりしてなにもいえなかった。以前Kさんの移動のときにも同じようなショックを受けた。しかしそのときは上大岡という異動先が全てを解決してくれた。しかし、今回はそうも行かない。ぼくは思わずつぶやいた。
“Aさんがいないと銀座店に来る意味がない…”
僕は銀座店の会員であり、今後もここに通う事は変わらない。それでも、そういいたくなるほどショックだった。
くわしくは書いてこなかったが、第1回目の痩身技術から一番多く僕を担当してくれたのがAさんだった。そういう意味で僕の身体(おなか)の状態を一番良く知ってくれていたし、あるときは“私の作品”とまで言ってくれていた(笑)。おなかがだんだんと柔らかくなってくるのを自分のことのように喜んでくれていたし、いつも一生懸命にやってくれていた。そして一番いろいろな話をしたのもAさんだった。そんなAさんがいなくなることは、ぼくにとっては非常につらく、残念な事だった。
その日の技術が終わり、ロビーにいるとAさんがやってきた。僕は感謝の気持ちを伝えようとして、“Aさんはいつも僕に対してすごく一生懸命やってくれたし、今のままがんばればどこに行っても十分やっていけるよ”と言った。彼女も僕の事を最後まで担当出来ないことを残念がってくれた。もっといろいろと話したいことはあったが、相手は仕事中である。近い将来の再会を約束して、僕はハウスを後にした。
☆
1週間後、宇都宮店よりダイレクトメールが届き、Aさんのがんばっている様子が伝わってきた。僕は返事を書いて、近いうちに宇都宮に行きたいことと、それだけではなくその時までに更に体重を3kg落として、より引き締まったおなか(作品)をみせる事を誓った(この約束が足かせになって、いつまでも宇都宮に行けないなんてことにならなきゃいいのだが…)。その後体重は一進一退だが、お酒を飲んでいるときでもこの約束だけは頭の片隅にしっかりと残っていて、何とかして実現させたいと思っている。宇都宮のおいしい餃子とビールが待っているので、気分を入れ替えてがんばらないと…(笑)。
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