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16.上大岡へ行こう(2)
Aさんがいなくなった事は寂しかったが、僕は気分を新たにしてハウスに通っていた。4月になったばかりにもかかわらず、銀座店にも早速新人が研修に来ていた。いきなりの現場実習はいろいろととまどう事が多くて大変だろうなと思いつつ、彼女たちに汗を拭いてもらっていた。
☆
ここしばらく、銀座店に2回行って痩身(デブコース)を受け、上大岡店に1回行ってヒーリングテラピー(全身のオイルマッサージ)を行うというローテーションを組んでいた。4月の中ごろに上大岡店に行くとKさんがいつものように出迎えてくれた。しかし、髪型をがらりと変えて(なんでも、ハウスで店長に切ってもらったそうだそうである)心なしか落ち着いた雰囲気になっている。少しびっくりしている僕に挨拶してくれた後にKさんは“*******”と何か言った。僕は良く聞こえなかったので、聞き返した。
“4月1日より上大岡店の店長になりました”今度は聞き取れたが、状況が理解できず(失礼)もう一度聞き返した。もう一度同じ事をいわれたので、ようやく理解した僕は“そうなんだ、おめでとう”とようやく意味の通った返事をした。
僕は一人の客として、Kさんのヒーリングテラピーなどの技術や僕への接し方を気に入っていた。でもあくまでそれは僕がKさんを見て感じる事であって、ハウス内でのKさんの評価がどうなのかは知るよしもなかった。ただ入社2年目であることは聞いていたので、そんなに早く店長になれるということにびっくりしたのである。自分が入社2年目の時に何をしていたかを考えた場合、思い返しても恥ずかしくなるばかりで、実力主義というか、若手を積極的に仕事を与える方針なんだなと思った。くわしいことはわからなくても、店長というのは大変な事がたくさんあるだろうということは想像できる。しかしそんな大変さを僕の前では見せず、それでいて店長だからと変に気負っていないKさんをみてすばらしいなと思った。(ちなみに僕は、お客様の前でも大変さを簡単に顔に出してしまう情けない人間です…苦笑)
☆
Kさんが店長になると共に新しいメンバーが入ってきていて、銀座店同様新人の子が研修にきていた。彼女は親切にも僕においしい飲茶の店を教えてくれたので、すっかり気に入ってしまいました。こんなやさしさはいつまでも持ちつづけてほしいものであり、まちがっても“だめですよ、そんな所へ行っちゃ”なんてことを言う人間にはなってほしくないものだ…(笑)。それぞれ早速挨拶をしてくれたが、いつものように目の見えない僕は後で顔を覚えようと思いながら話していた。このとき僕は上大岡店には若手1.2年目のエステティシャンばかりそろっていることに気がついた(ちなみに自称18歳のエステティシャンにはもう銀座店で何人もお会いしておりますが…)。それでいて1つの店を動かしていくチームワークというか、みんなしっかりしているなあと感心してしまいました(特にお酒の飲み方についてご指導頂くのは、キャリアに関係無く実にしっかりしている…(笑))。僕にとってはここではヒーリングテラピーを主に行っているせいか、すっかりリラックスできる場所になっていて、銀座店とは違う楽しみ方をさせてもらっている。2つのお店を利用することは、わがままかもしれないが事情の許す限り今後も続けていきたいと思っていた。
17.そうだ、京都へ行こう…(1)
5月のゴールデンウイークは、仕事もぽつぽつと入っていて、結局帰省しなかった。でもそんな僕はまだまだましなほうで、親愛なるハウスのエステティシャンの方々は毎日出勤との事、ホントいったいどこがゴールデンウイークなんだろうといった感じでしょう。お疲れ様です。その代わりに1週間後に京都へ正月以来の帰省をする事にした。そしてそのときに、以前からぼんやりと考えていたことを実行しようと決めた。
☆
前回帰省した3日間、大いに飲んで食った僕は+3kgという偉大な成果を出してしまった。今回もどうせ飲んで食ってという事は避けられないだろう。だったら帰省中に一度京都店に行けばいいじゃないの…。初めて上大岡に行ったときのような楽しみがこみ上げて来るのを感じた。早速店長に話して、京都店の予約を取ってもらった。
僕が京都店に行きたくなった理由は、なんにでもありがちな京都(関西)と東京の違いを経験してみたいという興味本位がひとつ。もうひとつは、僕は高校生まで京都にいたので逆に京都の社会人の世界を知らない。エステに行くことが社会人の世界かどうかはともかく、普段東京でやっている事を京都でも体験してみたいという気持ちが強かった。もちろん、京都弁のエステティシャンと話してみたいという単純な興味もあった。
聞いたところによると、京都店の店長はこの3月まで池袋にいたそうで、銀座店でも店長を始め顔見知りの人が多く、行く前から“よろしくお伝えくださいね”と何人にも言われていた。ハウスは関西のほうにもたくさんのサロンがあり、東京近辺の店長も何人かの関西店長経験者がこちらにやって来ていた事も後になって聞いた。
京都店の地図が無かったので住所を聞いたところ、大体の場所はわかった。面白かったのは京都店の住所をこちらのエステティシャンが読めなかった事だ。バカにしているわけではなく、改めて京都の地名は京都出身者以外にはややこしい事を痛感した。
いざ京都に帰るとなって、僕は今回エステに行く事は両親には話さないことにした。東京で通っていることも知らないわけだし、一から説明するのは話がややこしくなりそうだったし、また何か言われるのも面倒だったからだ。もし京都で両親と同居していたら、僕はエステに行こうなんて絶対に考えなかっただろうし、考えても実行はしなかっただろうと帰りの新幹線の中でビールを飲みながら思っていた。朝の11:00に予約していたので、翌日は9:00には起きなきゃならない(普段帰省した際には東京での日常生活の疲れをとるために好きなだけ寝るのが常である)ので早く帰りたかったが、仕事や乗り継ぎの都合で実家に着いたのは結局午前0時をまわっていた。それでもそのとたんに、親父といっしょにテレビを見ながらビールを空け、早速大いなる飲み食いを始めてしまった僕だった。
18.そうだ、京都へ行こう…(2)
翌日9:00に目がさめた僕は疲れの取れない眠い目をさすりながら嵐山の実家を出て、京都のハウスに向かった。周りからはもったいないといわれようと、普通帰省してもただ寝ているだけの僕にとっては、久しぶりの京都の中心街へのお出かけとなった。懐かしい風景と5月半ばにもかかわらずこれまた懐かしい京都の暑さを感じながら、僕はハウスに到着した。
☆
京都店は京都のメインストリート四条通りと交わる富小路通りを南に下がった少し古びたビルの3階にあった。入ろうとして向かって左側に男性用ハウスがあるのが銀座と逆であり、早速そんな違いを面白がっている僕だった。店に入ると入り口のすぐ右側にエステティシャンが座るカウンターがあり、店長らしき女性が電話中だった。僕の姿に気がつくと、会釈をしてくれた。すぐに来たもう一人のエステティシャンに今日予約していた事を告げると、やはり挨拶してくれた。しかし、銀座店のいつもの大げさな(失礼)こんにちは~という感じではなく、あっさりした感じだった。知らないうちに銀座での挨拶や様付けで呼ばれている事に慣れてしまっている自分に気がつき、少し怖くなった。もう一つ“会員証は”ときかれ、いつも銀座では出した事の無い僕は持ってこなかったことをお詫びした。ホントは銀座でも上大岡でも出さないとだめですよね…すみません。
早速着替えたが、建物同様更衣室も少し古い感じがした。積んであるグリーンのタオルがやけに目に付いた。技術室に入ると部屋が二つあり、聞くとデブコースと美顔/脱毛コースで部屋が分かれているそうだ。次に体重測定だが、体重計のメモリが0.1kg単位であり、少しアバウトである。そして体重も十の位からしっかり読み上げられた。良い悪いではなく、これも銀座店とは違うなと感じた(ちなみに僕は、どっちでもいい)。
☆
サウナに入ると、先程の店長が挨拶に来てくれた。“今日はわざわざ遠くからきてくれはってありがとうございます。”といってくれたので、僕は自分の実家が京都の嵐山であり、帰省して今日はそこからきたこと、銀座店の何人もからよろしくといわれてきたことを伝えた。店長はよろこんでくれ、ひとりひとりについて一緒に仕事をしたとか僕に教えてくれた。京都で、そして京都弁でこんな話をしている事が僕はなんとなくうれしかった。いつものようにだらだらと汗をかきながらであったが…。
次に店長の代わりに新人のエステティシャンがやってきて汗を拭いてくれた。“銀座店はどんなとこですか?”などといろいろ聞いてくれたので、ぼくは京都店との違いを思いつく限り話した。次にマッスルトレーニングに移ったわけだが、5分くらいたったら苦しくなってきた。少しサウナの温度が暑かったとは思っていたが、京都に帰ってきて日頃の疲れがどっと出てきたのかなという気がした。それでも、かわるがわるエステティシャンと話すのは楽しかった。やはりみんな銀座店のことを聞いてくるし、僕は銀座店のことや京都店に来て思ったことを話す。微妙な違いがわかってくると、本当に面白かった。しかし、技術後1時間半は飲食禁止というのだけは変わらなかった。“関西人はせっかちやから45分でええんやないですか”と僕が言ったら“それは一緒ですね”とあっさり否定されてしまいました。そのうちにかなり苦しくなった僕は、初めてマッスルを受けたときのように無理をすることなく3分を残してやめてもらった。
超音波ともみ出しは又別のエステティシャンがやってくれた。彼女は京都店にはエステティシャン4人に新人が3人いるそうで、新人のひとりは男の子であると教えてくれた。そうこうするうちに、新しいお客さんがやってきてサウナに入っていた。すると店長がカルテを見ながら昨日の夕食や、今日の朝食で何を食べたとかかなり詳細に聞いていたのが耳についた。聞かれたほうも熱心に答えていたし、“お酒は?”の問いに“飲んでません”と答えていたのが印象的であった(笑)。聞いていて、僕がこれをやられたらどうなるだろうと苦笑いするしかなかった。
エステ“昨日の夕食は?”
デブ “居酒屋でつまみをとりながらビール3本です”
エステ“困惑しながら…それから?”
デブ “2次会はバーでバーボンをロックで3杯、そして〆はラーメンです”
エステ“よろけそうになり…ありがたい脂肪細胞のお話が15分つづく”
恐らくこんなところであろう。超音波ともみ出しをやっているときにもマッスルの疲れが残って気分が悪くなる事を心配したが、話しながらだったので何とか無事に乗りきれた。技術終了後に体重を測ったら1.6kg減といつも以上の成果があった。やっぱり京都は暑いのである。
技術を終えて着替えると、もみ出しをやってくれたエステティシャンが“またぜひきてください”といってくれた。ぼくは彼女にお礼を言うと共に、“1時間半たってから行くから、おいしいラーメン屋知りませんか?”と聞いた。彼女は以前自分が行っておいしいと思った一軒の店を教えてくれた。店を出てから1時間半ののどの渇きと空腹をマンガ喫茶に飛び込んで何とかしのぎ、行ったそのお店のラーメンのうまかったこと。ぼくは二重の意味で彼女に感謝している。次回の帰省時にはぜひこの気持ちを伝えに又京都店に行こうと思っている。
19.隣の人も、変わらないのね…
京都から戻ってきて再び銀座店に行ったある日、店長と技術後ロビーで話をしているとたまたま野球の話になり、店長が巨人ファンであることがわかった。僕はまたかと思った。生まれてからの熱烈な阪神ファンの僕であるが、東京に来てからというものなぜか僕が常連になったり、通うことになる店の店長やオーナーはことごとく巨人ファンなのである。しかも熱烈な…。まさか店に入る前に“あなた野球はどこのファンですか?”なんて聞くわけにはいかないし、だからといってその店に通うのをやめる事にはならないが、野球シーズンには激しい舌戦を(?)繰り広げることになるのである。(笑)
☆
今までも書いてきたように、技術を受けている最中にエステティシャンとはとりとめの無い雑談をしている。たいていが昨日ビールを何杯のんだとかそんな話である。それは他のお客さんも同じ事で、隣りのベッドでの会話が弾んでいるとこちらに聞こえてくる事はよくある。もちろんこちらの会話が相手に聞こえる事もあり、場合によってはみんなでお話の輪が出来るなんて事になるのである。
先日僕が技術の途中から飢えと渇きを感じていたときに、隣りのベッドでは食べ物の話を始めた。えんえんと話は続き、しかも大好物のラーメンの話に変わった(笑)。正直言ってこれはつらい。ぼくは涙ながらに(?)“となりなんとかしてよ”とぼくのおなかをもみ出し中のエステティシャンにジェスチャーで訴えたものである。
逆のケースもある。となりではもみ出しを受けている方が悲鳴を上げている。ぼくは最初テラピー/超音波から入った事もあり、幸いにももみ出しではあまり痛い目をしなかった。そこへエステティシャンが“デブ様はもみ出しはもう平気ですよね?”と聞いてきたもんだから“僕は最初からそんなに痛くなかったですね。でも僕の場合はアルコール麻酔が効いているからでしょう(笑)”といったところ、“そんなこというんだったら俺もビール飲んでくるぞ…”と隣の人がもみ出しを受けながら苦しみつつ言ったのには笑ってしまった。
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そしてその日の雑談もやはり僕の昨日飲んだお酒の話題になった。エステティシャンとのいつものやり取りが繰り返された後、僕が開き直ったように“でもさ、僕みたいにお酒も止められないし、ラーメンやスナック菓子が大好きで、それでもやせたい人間はお金払ってここへ来るしかしょうがないでしょう”といったところ、突然、隣のお客さんが“すいません、全くその通りです”といった。もちろん僕は自分がそうだといっただけで、隣の人に言ったわけではないけれど、その返事の仕方とタイミングの良さにその場にいた全員が大爆笑となった。こういう人を見ると、いいようの無い連帯感を感じる僕だった。(エステティシャンはどう思っているかは知りませんが…。)
以前店長が“銀座の人はこっちの言うことは聞かないのにみんなそれなりにやせているから、これでしっかりとカロリー計算すればすごく効果が出るのに…”といっていた。僕はそれをきいて“隣の人も、変わらないのね…”と思いつつ、一生懸命アドバイスをしてくれているエステティシャンには悪いが、最初からそんなことが自分一人でできないからハウスへ通っているんだと改めて認識したのでありました(笑)。
20.CMとホームページ
最近ハウスのCMを目にする機会が多くなった。“イイオトコ”を全面的に押し出した内容で、イメージを重視したものになっているようだ。でもあれでは実際にハウスがどんな技術をサービスしているのか、もっといえば何をやっているのかわからないだろうなと思う。僕の場合はあのCMからいま自分が受けている技術を想像するのは不可能である。でもそれが悪いわけではなく、あのCMを見て興味を持った人がハウスに連絡してくればそのときにじっくりと説明すればいいわけで、まず関心をひきつける事が大事だろう。
でも、“イイオトコ”になれるにこした事は無いが、健康維持のために入会したどちらかといえば“イイオッサン”の僕にとっては、今回のCMは明らかにターゲットの外である(苦笑)。例えば、こんなCMのほうがよほどわかりやすい。
二人のデブが居酒屋かパブでお酒を飲んでいる。お互い最近おなかが出てきたことと体力の低下を気にしている。ひとりが酔っぱらって
デブA:“あーあ、お酒を飲んでいてもやせられる方法があったら少々お金を出してもやるんだけど、なんかイイ方法無いかなあ…”
デブB:“そんなうまい話あるわけないだろ,あったらとっくの昔におれがやってるよ”といいつつ、ふたりとも夢の中へ…。
夢の中でエステティシャンが現れ、二人をハウスに連れ去る。そしていくつかの技術を受けさせる(ここがみせどころ)。夢から覚めた二人は身体も財布もすっきりしている。
まあ、センスのほうはともかく、イメージはわくと思うのですが…
☆
もうひとつ、ホームページがある。僕は時々昼休みや夜勤のときに会社で見ているが、こちらは一つ一つの技術がわかりやすく説明してあり、料金も明記されていて良心的でイメージのわく内容になっている。ただ、実際にはいくつかの技術を組み合わせてコースにする事が多いので、そんな実例(組合せ、回数)がいくつか紹介してあったらさらによいのにと思ったものである。更に最近は同じ様な新聞広告を何度も見かけている。残念な事に僕はこのホームページを見つけたのは入会後だったので、出来れば入会前に一度見ておきたかったなというのが本音であるし、今だったら新聞を見るだけでも同じような情報が手に入れられたので、最初あんなに戸惑う事は無かっただろうなと思うのである。でもあのときに入会して良かったと思っている。今までほおっておいたら推定87kgの中デブになっていただろうし、KさんやAさんにも会えなかったし、上大岡にも京都にも行くことはなかっただろうから…。
(つづく)
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