筋トレがストレス解消に良いといわれる理由
まず、なぜ筋トレがストレス解消に良いといわれるのか、その理由を見ていきましょう。
筋トレがストレス解消に良いといわれる理由を解説
筋トレを行うと、ストレス解消に役立つセロトニン、アドレナリン、ドーパミン、テストステロンなどのホルモンが分泌されます。
・セロトニン
緊張をゆるめ、精神安定や安心感などをもたらすホルモンです。気分をリフレッシュさせるほか、幸福感を感じやすくなるので「幸せホルモン」とも呼ばれています。
・アドレナリン
集中力を高め、ストレスと戦う準備をするのに役立つホルモンです。
・ドーパミン
ドーパミンが増えると幸福感を感じやすくなり、物事をポジティブにとらえることができるようになります。また、意欲的に物事に取り組めるようになることもわかっています。
・テストステロン
意欲向上や闘争心を高める作用があるホルモンです。メンタルを強化し、ストレスに負けないメンタル作りに役立ちます。
睡眠の質を高められる
筋トレによって分泌されるセロトニンは、睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の原料でもあります。メラトニンが分泌されることにより、質の良い睡眠がもたらされ、1日の精神的な疲労も解消できるのです。筋トレを習慣にすると寝つきやすくなるのは大きなメリットといえます。
また、筋トレを行うと、睡眠中に体温が上昇して徐波睡眠(眠りが深い状態)の時間が増加することもわかっています。
筋トレを行えば睡眠の質が高められるため、ストレス解消に役立つといえるでしょう。
ストレス解消以外の筋トレのメリット5つ
筋トレはストレス解消に良いだけではありません。基礎代謝を高めて痩せやすくなるほか、思考に影響を与えてポジティブ思考になれるなどといったメリットもあります。
ここでは、筋トレをやることのほかのメリットをひとつずつ紹介します。
基礎代謝が高まる
基礎代謝とは、何もしていない状態で呼吸や体温調節などの生命維持に消費するエネルギー量のことです。基礎代謝量が高いと痩せやすくなり、逆に低下すれば痩せにくい体になります。
ダイエットを効率良く行うには、基礎代謝量をアップすることが大切です。
定期的に筋トレを行うと筋肉量が増加して基礎代謝量も上がるため、脂肪燃焼効率がアップし痩せやすくなります。
美しい姿勢を保てるようになる
筋肉量が少ないと、体をうまく支えることができず姿勢が悪くなりがちになります。背筋をピンと伸ばした美しい姿勢を保つには、筋肉量を増やすことが欠かせません。
筋トレをして背筋や腹筋、胸筋、ヒップ、太ももなどの筋肉を鍛えると、長時間美しい姿勢をキープしやすくなります。また、筋肉が付くことで全体的に体が引き締まるので、理想の見た目に近づけるのもメリットです。
有酸素運動の効果が高まる
運動には筋トレのような無酸素運動と、ウォーキングやジョギングに代表される有酸素運動があります。ダイエットには脂肪燃焼効果が期待できる有酸素運動が良いとされていますが、有酸素運動の効果を高めるには筋トレと組み合わせるのがおすすめです。
筋トレを行うと血行が良くなるため、その状態で有酸素運動に取り組むと、脂肪燃焼効率を高めることができます。
冷えやむくみを改善しやすくなる
体の冷え、むくみ、コリの主な原因は血行不良です。血液の流れが滞ることで、そうした不調が生じやすくなります。冷えやむくみというと女性に多いイメージがありますが、男性でも年齢を重ねるにつれて、そうした体の不調に悩まされる人が増えるのです。
筋トレをすると、全身の血流が良くなって体が温まります。血液が体のすみずみまで運ばれるので、体の冷えやむくみ、コリといったトラブルが改善されやすくなるでしょう。
思考がポジティブになる
筋トレで分泌されるテストステロンは、脳に以下のような良い影響を与えることがわかっています。
・気分が前向きになる
・積極的になる
・活動的になる など
気持ちが落ち込んでいるとき、新たな物事に取り組むときは、意識的に筋トレを行ってテストステロンの分泌を促すのがおすすめです。
また、筋トレをするとBDNF(脳由来神経栄養因子)が分泌されることもわかっています。BDNFが多く分泌されることで気持ちの切り替えが早くなるのも、筋トレのメリットのひとつといえるでしょう。
ストレス発散におすすめの筋トレ3選
筋トレでストレス解消したいと考えている方のために、おすすめの筋トレを紹介します。とはいえ、現時点では「この部位を重点的にトレーニングすると、ストレスに良い」という科学的根拠のようなものはありません。
どの部位であっても体を動かすこと自体がストレスに良いので、全身の大きな筋肉をバランス良く鍛えられる筋トレメニューを行うと良いでしょう。
スクワット
大腿四頭筋や大殿筋といった下半身の筋肉を鍛えることができます。特に下半身には体のなかでも大きな筋肉が集中しているので、この部位を鍛えると基礎代謝アップにもつながり、痩せやすい体になるのもメリットです。
<やり方>
1.椅子に腰掛け、背筋を伸ばした状態で上体を前に傾ける
2.1の姿勢のまま上半身は動かさず、足の力だけを使って立ち上がる
3.上半身はそのままの姿勢で、ゆっくりと椅子に座る
※10回×3セットを目安に行う。
慣れるまでは椅子を使って、正しいフォームでスムーズにできるようになったら、椅子を使わずにやってみましょう。太ももと床が平行になるまでしっかりと腰を落とすのがコツです。
プッシュアップ(腕立て伏せ)
大胸筋を鍛えることができるトレーニングです。大胸筋が鍛えられて胸に厚みが出ると、シンプルなシャツもかっこよく着こなせるようになりますよ。
<やり方>
1.うつ伏せになり、肩幅より拳ふたつ分くらい外側に手のひらを置く
2.腕を伸ばして足のつま先だけをつけ、首から足までまっすぐになるようにする
3.ひじを曲げて、床ギリギリの位置まで体を倒す(このとき、脇はしっかりと閉じておく)
4.地面を手のひらで押さえつけるようにしながらひじを伸ばし、元の姿勢に戻る
※10回×3セットを目安に行う。
最初のうちはひざをついて行っても構いません。腕でしっかりと体を支えることができるようになったら、ひざを伸ばして行いましょう。
クランチ
腹筋群など体幹を鍛えられる筋トレです。クランチのなかでも、腰への負荷が軽いカールアップクランチのやり方を紹介します。
<やり方>
1.仰向けになり両手を頭の後ろで組んで、ひざを立てる
2.おへそをのぞき込むようにしながら、上体を小さく丸めるようにして起こす
3.背骨を1本ずつ床につけていくようなイメージで、体を丸めたまま元の姿勢に戻る
上体を起こしたり、仰向けになったりすることで、腹筋に負荷を与えることができます。体を小さく丸めたまま行うことで、腰への負荷を軽減することができるのが特徴です。
【ストレス解消の効果アップ】正しい筋トレのやり方
筋トレは、やり方次第では逆にストレス増加につながることもあります。ストレス解消につながる筋トレのやり方を解説します。
筋トレの頻度
筋トレで同じ部位を鍛える場合は、毎日ではなく2~3日に1回のペースで行いましょう。
筋トレ後は筋肉が傷ついた状態にあり、修復のための時間が必要です。筋肉の修復は少しずつ進み、一般的には48~72時間が必要とされています。筋トレ後に48~72時間の時間を取ると超回復という現象が起こり、筋肉を効率良く鍛えることができるのです。
毎日筋トレをするなら、今日は足、明日は背中、明後日は胸というように、鍛える場所をローテーションしながらトレーニングすると良いでしょう。そうすれば、休息を取りつつ効率良く筋肉を鍛えることができます。
筋トレに慣れたからといって頻度を増やすと、疲労やストレスが溜まって逆効果になることもあるので注意しましょう。
筋トレの回数・負荷
筋肉には、瞬発力やパワーが必要な運動に使われる速筋(そっきん)と、持久力が求められる運動に使われる遅筋(ちきん)の2種類があります。
ダイエット目的の運動なら、遅筋を鍛えるのがおすすめです。低負荷の筋トレを15~20回、2~3セット行うようにしましょう。
筋力アップが目的なら、速筋を鍛える運動を行います。高負荷の筋トレを8~12回、1~3セット行うと速筋を効率良く鍛えることができるでしょう。
人によって限界は異なるので、自分の体力に合わせて負荷をかけていくのがポイントです。自分がギリギリできるくらいの負荷をかけてトレーニングを行うと、しっかりと鍛えることができます。セット間休憩は1~2分が目安です。
筋トレのタイミング
筋トレを行うと、神経が興奮状態になります。そのため、就寝前はもちろん、18時以降の筋トレは睡眠の質に影響を与えると覚えておきましょう。
18時以降に筋トレを行うなら、心拍数が上がるようなハードな内容のものは避けるのがおすすめです。また、就寝の3~4時間以上前には筋トレを済ませておくと良いでしょう。
筋トレに適切なのは、体内にエネルギーが十分にあり、消化活動が終了しているタイミングです。空腹時や食後すぐのタイミングを避けるために、食後2~3時間後を目安に筋トレを行うと良いでしょう。
まとめ
筋トレを行うと、ストレス解消に役立つホルモンの分泌を促し、リフレッシュできます。また、睡眠の質を高めることにもつながるので、定期的に行うのがおすすめです。
本記事で紹介したトレーニングや正しいやり方のポイントを参考に、習慣にしてみてはいかがでしょうか。