ハードゲイナーとは
ハードゲイナーとは、ボディビル用語のひとつで、体質を指す言葉です。
ハードゲイナーとは反対に、イージーゲイナーと呼ばれる体質をもつ人もいます。筋力アップを図るためには、自分の体質を見極めたうえで適切なトレーニングを行うことが大切です。
ここからは、ハードゲイナーとはどのような人を指す言葉なのか、特徴について紹介します。
ハードゲイナーとはどういう人?
ハードゲイナーは、もともと太りにくい体質をもつ人を指す言葉で、見た目はスレンダーで筋肉も少ない印象の人が多い傾向にあります。
太りにくいのは良いことのように感じる方もいるかもしれませんが、筋肉がつきにくいため悩む方も多い体質です。
筋力アップを図りたいのに思うように筋肉がつかない場合、ハードゲイナーに該当する体質かもしれません。
しかし、まれに「ハードゲイナーだと思っていたら筋力が低下していく病気にかかっていた」という場合があります。
そのため、筋力アップを図る工夫をしているにも関わらず、どうしても筋肉がつかないという方は、一度病院で検査を受けてみるのも良いかもしれません。
ハードゲイナーはなぜ太りにくい?
ハードゲイナーはなぜ太りにくい体質なのでしょうか。
ハードゲイナーは栄養を吸収しにくく、基礎代謝が高い傾向にあるとされており、食事を摂取しても吸収できない、消費が早い特徴があります。
そのため、筋力アップを図ろうとしても摂取した栄養素がうまく筋肉にならず、太りにくく筋肉がつきにくいのです。
筋力を身に付けたいからといって、過度なトレーニングを行うと消費エネルギーが増えてしまって逆効果になるため注意する必要があります。
ハードゲイナーは手首でわかる?見分け方と特徴
自分がハードゲイナーであるかどうか、具体的にはどのように見分けるのでしょうか。実はハードゲイナーであるかそうでないかは、手首を使って簡単にチェックできます。
自分の左手首を右手の親指と中指で握ったときに、指同士がくっつき隙間ができるのであればハードゲイナーである可能性が高いです。それに対して、指と指がくっつかない人やギリギリ届く人は、ハードゲイナーではないと考えられます。
とはいえ、手首の診断基準だけでは、100%ハードゲイナーであるかを見極められません。
以下は、ハードゲイナーに共通する特徴です。複数個当てはまる人はハードゲイナーである可能性が高いので、参考にしてみてください。
【ハードゲイナーに当てはまる特徴】
・しっかりと食事を摂っているのに太れない
・筋トレを行っても効果が出にくい
・平均よりも手足が長くて華奢
・胃腸が弱い
・体が冷えやすい
・便通が良く、軟便気味
・食後は下腹がぽっこり出る
ハードゲイナーが太るには?
ハードゲイナーの人が太るには、ひたすらにたくさん食べれば良いというわけではありません。ここからは、ハードゲイナーの人が太るためのポイントを見ていきましょう。
筋トレを取り入れる
ハードゲイナーの人は、栄養素が吸収されにくく、すぐに消化されてしまうため、ただ食事量を増やしたりプロテインを摂取したりするだけでは、思うように体重が増えません。
健康的に筋肉や脂肪をつけるには食生活の改善をイメージする人も多いですが、ハードゲイナーの人が太るには筋トレを取り入れることが重要です。
筋トレを始めたからといって急激に太れるわけではありませんが、トレーニングを正しくコツコツと行えば、少しずつ結果がついてきます。
食事に気を付ける
体重を増やすためには筋肉を育てる必要がありますが、食事も筋トレと同様に重要です。いくら筋トレを頑張っていても、栄養が不足している状態ではなかなか筋肉が大きくなりません。
ただしハードゲイナーの人は、胃腸が弱い傾向にあるため、一度に大量の食事を摂るのは避けましょう。
無理して一度に食べて消化不良を起こしてしまっては逆効果です。栄養素の高い食品を中心に摂るよう心掛け、自分に合った食事量を見つけましょう。
ハードゲイナーの筋トレ方法
ハードゲイナーであっても、適切なトレーニングと栄養摂取を意識すれば、筋力アップを図ることは可能です。
重要なのは、大きい筋肉がある複数の箇所を同時に鍛えられるメニューを取り入れることです。これを「コンパウンド種目」といいます。
では、具体的にどのような方法のトレーニングを行えば、複数個所を同時に鍛えることができるのでしょうか。
ここからは、ハードゲイナーが筋肉をつけるためのトレーニング方法について、上半身・下半身それぞれの鍛え方を紹介します。
上半身
上半身を鍛えるのであれば、「デッドリフト」「ベンチプレス」「ディップス」などのトレーニング方法がおすすめです。
それぞれのトレーニング方法について、具体的に紹介します。
・デッドリフト
デッドリフトは、背中と足の筋肉を同時に鍛えることができるトレーニング方法です。広背筋、大臀筋、ハムストリングスなどの強化に役立ちます。
1.自分が持ち上げられる重さのバーベルを用意し、バーベルの前に立つ
2.足を肩幅に開いて、両手は肩幅よりもやや広くあけてバーベルのバーを持つ
3.大きく息を吸い込んで止め、バーを持ち上げる
4.バーを上げるのと同時に体を起こし、直立する
5.バーを下ろすのと同時に体も下げていく
このとき、腕を持ち上げてバーベルを上げるのではなく、腕は真下に降ろしたままでかまいません。背中を丸めてしまわないように注意しながら取り組みましょう。
・ベンチプレス
ベンチプレスは、背中や腕、肩回りの筋肉を鍛えることができるトレーニング方法です。デッドリフト・スクワットと合わせて「筋トレBIG3」と呼ばれるほど有名なトレーニング方法で、上半身の筋力アップに適しています。
1.ベンチに仰向けになって寝転んだ状態でバーベルのバーを両手で持つ
2.両肩を背中側に下げるイメージで肩甲骨を寄せて力を込めやすくする
3.肘が真っすぐになるまで真上にバーベルを持ち上げる
4.ゆっくりと元の位置まで戻す
ベンチプレスを行う場合には、バーベルを上下する際にゆっくりと動作を行うことが重要です。
急に手を上げ下げするような反動をつけたトレーニングを行うと、高重量のバーベルを持ち上げやすくなります。しかし、筋肉への負荷が減少するためトレーニング効果を引き出すことができないため、注意が必要です。
・ディップス
ディップスは、胸や腕の筋肉を鍛えるのに効果的なトレーニング方法です。上半身の中でも特に大きい筋肉を複数同時に鍛えられるため、ハードゲイナーの方にもおすすめの筋トレ方法になります。
1.平行棒の間に立ち、真っすぐ下に伸ばした両手でバーを掴み、体を浮かせる
2.体を浮かせたままゆっくりと肘を曲げていく
3.可能な限り肘が90度になるように曲げ、ゆっくりと元の位置に戻る
肘を曲げて体を下げる際に、やや前傾姿勢で行うのがポイントです。腕や胸だけでなく、腹筋・背筋も鍛えられるトレーニング方法になります。
下半身
下半身には、大臀筋やハムストリングスなどの大きな筋肉が多く、意識してトレーニングすることで効率良く筋力アップを図ることができます。
おすすめのトレーニング方法は「ノーマルスクワット」「ランジ」「レッグプレス」の3種類です。
・ノーマルスクワット
ノーマルスクワットは、トレーニング初心者でも比較的容易にできるトレーニング方法で、太ももやお尻、股関節周りの筋肉を効率良く鍛えることができます。
1.足を肩幅程度開いた状態で立つ
2.両手を前に真っすぐ伸ばした状態で、腰を真下に下ろしていく
3.つま先より前に膝が出ないように意識し、膝が90度程度になるまで下げてキープ
4.ゆっくりと元の位置に戻る
スクワットは、正しい姿勢で行わなければ膝や腰を痛めることがあるため注意が必要です。前傾姿勢になったり、つま先よりも膝が前に出てしまったりすると膝関節や腰に負担がかかるので気を付けてください。
・ランジ
ランジはスクワットに近いトレーニングで、太もも、お尻、骨盤周りの筋力アップの効果が期待できます。
スクワットの方が高負荷なトレーニングになりますが、ランジでは体幹を鍛えてバランス感覚を養うことができます。
1.両手を胸の前で祈るようなポーズで組んで立つ
2.右足を大きく前に踏み出し、腰を落とす
3.右足が90度になるように曲げ、左足も膝が床につかない程度に曲げる
4.元の位置に戻り、左足も同様に行う
ポイントは、スクワット同様に前傾姿勢にならないように背筋を伸ばしたまま腰を落とすことです。慣れないうちは左右にぐらつきやすいため、転倒しないように注意しましょう。
・レッグプレス
レッグプレスでは、お尻や太もも、ふくらはぎの筋肉を同時に鍛えることができます。
レッグプレスのマシンを活用してトレーニングを行うため、自重よりも強い負荷をかけることも可能です。
1.レッグプレスマシンに腰かけた状態で両足を前方の板に乗せる
2.お尻が浮かないように意識しながら、両手でベンチサイドのバーを握る
3.ゆっくりと足を伸ばして持ち上げる
4.急に足を離さないようにゆっくりと元の位置に戻る
はじめて行う場合は、軽い負荷からはじめて徐々に強くしていきましょう。お尻を浮かせてしまうと腰を痛める原因になるので注意が必要です。
ハードゲイナーが筋トレで注意すべきこと
ハードゲイナーは、一般的な体質の人と比べて筋肉がつきにくいため、筋トレを行う際に注意すべきポイントがあります。
また、筋トレと同時に食事内容の見直しを行うことで、さらにトレーニングの効果を引き出すことができるので、チェックしてみてください。
筋トレの時間は短めに
ハードゲイナーは消費エネルギーが多く、長時間トレーニングを行うと消費しすぎてうまく筋肉がつかなくなる原因になります。
そのため、トレーニングの時間は長くても1時間程度に抑えて、短期集中で行うように意識することが重要です。
また、筋肉の炎症反応が大きく出やすい特徴があり、回復にも時間がかかってしまいます。
あまり長くトレーニングを行ってしまうと、回復時間も長くとらなければならないので、注意しましょう。
筋トレ後は身体をしっかり休める
ハードゲイナーの人は人より筋肉がつきにくいため、筋トレの回数や負荷を増やしたくなるかもしれませんが、それは逆効果です。
筋トレを行った後にきちんと体に休息を与えることで筋肉の損傷が回復し、筋肥大や筋力向上などの効果が期待できます。
一般的に筋肉を休息させるには48~72時間の休息が効果的とされています。休息時間が長すぎても短すぎても筋肉を育てる妨げになってしまうため注意しましょう。
サプリやプロテインを摂る
効率良く筋肉を増やすために、サプリやプロテインを活用しましょう。食事だけでは十分に摂れない栄養素は、サプリやプロテインで補えます。
筋肉を育てるためには、たんぱく質を豊富に含むプロテインが欠かせません。なかでもハードゲイナー用のプロテインは太ることを目的としており、糖質や脂質が多く含まれています。
ハードゲイナーの人は栄養の消化吸収が苦手であるため、消化や吸収をサポートするサプリもおすすめです。
筋トレだけでなく摂取カロリーも見直す
ハードゲイナーは基礎代謝が高いため、筋トレで消費したカロリー分摂取量を増やす必要があります。
胃腸に負担が掛からないよう、一度の食事量を変えるのではなく食事の回数を増やしましょう。目安としては、朝昼晩の3食に加えて間食を2、3回摂ることです。
基本の3食以外は、プロテインやおにぎりなどの軽食で問題ありません。たんぱく質や糖質を中心に、さまざまな栄養素をバランス良く摂れるように意識しましょう。
通常の食事に加えて、プロテインなどの補助食品も積極的に取り入れながら、カロリー摂取量の維持を行いましょう。
消費カロリーが摂取カロリーを上回ってしまうと、筋肉が思うようにつかなくなるため、自分の基礎代謝量などを調べてみるのも効果的です。
また食事内容は、たんぱく質を十分に摂取できるよう心掛けてください。たんぱく質は筋肉を作るために大切な栄養素で、肉や魚、卵や豆製品などの食品に豊富に含まれています。
もし、ひとりで身体づくりを継続して行うことが難しい場合は、メンズエステなどでプロの手を借りながら食事内容やトレーニングのアドバイスを受ける方法もあります。
自分に合うトレーニングと食事内容を模索しながら、継続して筋トレを行っていきましょう。
ハードゲイナーのよくある質問
ここからは、ハードゲイナーのよくある質問について回答します。正しい知識を味方にして、筋力アップを目指しましょう。
ハードゲイナーにアルコールは良くない?
結論から言うと、ハードゲイナーの人はできるだけアルコールを避けたほうが良いでしょう。
ある研究において、アルコールを頻繁に摂取すると男性ホルモン量が減少し、女性ホルモンの割合が高まることがわかっています。
男性ホルモンの割合が低くなると、筋肉が分解されたり増量が抑制されたりするため、筋肉を増やしたい人にとってアルコールは大敵です。特にハードゲイナーの人は、生まれつき男性ホルモン量が低い傾向にあるため、筋肉がつきにくくなってしまいます。
アルコールを飲んで気持ち良くストレスを解消できるという人は、少しであれば問題ありません。ただし飲酒量はたしなむ程度に留め、適度に休肝日を設けましょう。
ハードゲイナーにおすすめのプロテインはある?
プロテインの中には、ハードゲイナーの人に向けて作られた製品も販売されています。ハードゲイナー用のプロテインは、たんぱく質はもちろんのこと、糖質や脂質が豊富に含まれていることが特徴です。
ハードゲイナーはカロリーを消費しやすく、筋肉に送り込めるエネルギー量が非常に少ない状態です。そのため、高い栄養素を含むプロテインを活用することで、筋肥大や増強に必要なカロリーを手軽に補給できます。
また、胃腸が弱く食事を十分に摂れない場合にも、効率良く栄養素を摂取できて便利です。
ただし、プロテインのみに頼り切ってしまっては、必要な摂取カロリーが足りません。栄養は基本的に食事で摂るように意識し、プロテインはあくまでも補助的なものとして位置付けましょう。
ハードゲイナーで筋肉をつけたい方はエステの力を借りてみよう
ハードゲイナーが筋肉をつけるためには、自分に合った筋トレ方法を取り入れるのが重要です。
しかしハードゲイナー特有の体質上、自分で行う筋トレで筋肉をつけるのは時間がかかるうえに体力が追いつかない場合もあるのではないでしょうか。
一人で筋肉をつける自信のない人は、エステの力を借りてみるのもおすすめです。エステサロンに在籍するエステティシャンは、筋肉やボディメイクに関する豊富な知識を備えています。
ひと口にハードゲイナーといっても、体質や筋肉量は個人で異なるため、プロの目で実際に見てもらってアドバイスをもらえば体づくりに役立ちます。体の状態や変化を客観的に評価してもらえるため、正しく効率的に筋力アップを目指せるでしょう。
まとめ
ハードゲイナーだからといって、まったく筋肉がつかないということはありません。
適切な食事管理とトレーニングを行えば、徐々に筋力アップを図ることができるので、あきらめずに続けることが重要です。
ただし、ハードな筋トレで関節などを痛めて怪我をしないように、自分に適した負荷からスタートしましょう。