筋肉と脂肪ならどっちが先に落ちるのか?
ダイエットや筋トレをしている方は、筋肉と脂肪のどちらが落ちやすいのか気になるところではないでしょうか。結論からいうと、どちらから落ちるのかは状況によります。なぜなら、筋肉と脂肪とでは落ちる理由が異なるためです。
脂肪は、「エネルギーとして使われる」ことで落ちていきます。ごく普通の日常生活を送るだけでも一定量消費され、運動や筋トレによってより多く消費されます。
一方、筋肉は「使われない」ことで落ちていきます。運動をしていなくてもある程度の期間維持できますが、使われない状態が続くと徐々に落ちてしまいます。また、筋肉は動かすことで大きくなるため、同じ運動ばかりしていても、動かない部位の筋肉はつきません。
筋肉が先に落ちてしまう理由
脂肪と筋肉のどちらが先に落ちるかは状況によって異なりますが、ダイエットをしていると、筋肉だけが先に落ちてしまうケースがあります。
ここからは、ダイエット中に筋肉が落ちやすくなる理由について解説します。
摂取カロリーが少なすぎる
筋肉が落ちる理由としてまず挙げられるのが、摂取カロリーの不足です。体にとって必要なエネルギーが足りなくなると、生命維持のために筋肉内のたんぱく質がエネルギー源として消費され、筋肉量が減ってしまうためです。
ダイエットのために食事制限を行う方は多いですが、過度な制限はかえって逆効果となるかもしれません。筋肉をつけ、基礎代謝を高めるためには、適度に食事を摂り必要なカロリーを下回らないことが大切です。
たんぱく質が不足している
筋肉が落ちやすくなる理由として次に考えられるのが、たんぱく質の不足です。たんぱく質は筋肉の材料となるため、十分に摂取しないと筋肉は思うように増えていきません。
思うように筋肉がつかない、もしくは減ってしまったと感じている方は、もしかしたらたんぱく質を多く含む肉や魚の摂取量が足りていない可能性があります。
運動が不足している
運動不足は、脂肪よりも先に筋肉が落ちてしまう原因のひとつです。
一般的に高齢になるほど筋力や体力は落ちていきますが、若い世代でも運動をせずに過ごしていると筋肉量はどんどん落ちていきます。さらに、一度落ちた筋肉量は戻りにくいため、元の筋肉量になるまでは長い時間が必要です。筋肉を動かさずにいると筋肉が落ちてしまうメカニズムは、過去の研究でも明かされています。
運動不足になると、体を動かすことがますます億劫になり、さらなる運動不足と筋力低下を招きやすくなります。筋肉量が下がり続ける悪循環をうまないためにも、運動を日々の習慣にすることが大切です。
脂肪より先に筋肉を落とさないためのポイント
まず、筋肉を落とさないためには、継続的な筋力トレーニングと、タンパク質の摂取量を増やすことを同時に行う必要があります。
どちらかひとつだけでは、筋肉を維持することは難しく、必ずどちらもバランスよく行うことが筋肉を落とさないための大切なポイントです。
筋肉を落とさない食事のコツ
脂肪を落とすには、食事制限が必須。食事制限なくしては、からだの脂肪を落とすことはできません。とはいえ、ただ食べないだけで脂肪が落ちるということではありませんので注意が必要です。
脂肪を落とす食事制限を行うには、カロリー制限の目安を知ることが第一歩。食べなければいいと思い込んで、極端な食事制限をするのはNGです。基礎代謝量を下回らないようなカロリー制限が必要になります。
そのため、男性では1500~1600キロカロリー、女性では1100~1200キロカロリーを目安に食事を摂るのがおすすめ。基礎代謝を下回る食事制限は、筋肉を落とすことにも繋がるので避けましょう。
また、筋肉をつけるには良質なたんぱく源をしっかり摂りたいですね。たとえば、鶏の胸肉、卵、牛乳、ひよこ豆、大豆などがおすすめです。どれも手軽に手に入るものなので、毎日の食事に取り入れましょう。
筋肉をつけたい人の中にはプロテインを食事代わりに飲む人もいますよね。もちろんプロテインも筋肉をつけるためにはいいのですが、やはり食材からでしか摂れない栄養もあるため食事から栄養素を摂取するのが鉄則です。
脂肪を落とすためには、食事制限だけではなく、食事をする方法にも気を配る必要があります。
まず、食事は野菜から摂ることが大切です。野菜から食べることで、血糖値が一気に上がるのを防ぐ効果があります。
また、炭水化物と脂質を抑え、たんぱく質を多めに摂ることも脂肪を落とすには大切なことです。炭水化物はからだの中に入ると糖に変わるので、ダイエットには向きません。脂質も脂肪の増加につながるのでなるべく控えたい成分でしょう。
もちろん、間食にスナック菓子、ジュースやチョコレートなどを摂るのもやめなければなりません。いきなりやめると反動がきてリバウンドにつながる恐れもありますので、徐々に量を減らして、最終的には断つように意識しましょう。
筋トレの誤った情報
筋トレに関する間違った情報をそのまま信じていませんか?ここでは、筋トレに関する誤った情報についてご紹介します。
筋肉をつければ痩せやすくなる
筋肉をつければ痩せやすいからだになるというのは、よく聞く話ですよね。筋トレを行い、「筋肉が大きくなる」と「運動時に消費するエネルギーが増す」ため、痩せやすくなるという理論です。
実はこの情報は正しいものではありません。筋肉をつけたら、運動を行った際のカロリー消費量が増すだけで、基礎代謝量だけで見ると、筋肉をつける前とさほど変わらないのです。
また、筋肉が大きくなるのは「超回復」が起こるときだけです。「超回復」は、激しい筋トレによって損傷・疲労した筋繊維に十分な休息を与えることで筋肉が大きくなるというメカニズムで起こる現象のこと。
この超回復が起きるときには筋肉が大きくなり、初めて筋トレの効果が出てくるといえるのです。そのため、筋トレを行ったあとは、2日~3日は筋肉を休ませることが大切です。
筋トレで部分瘦せ
おなかや太ももなどの気になる部分は筋トレで部分痩せできる!というのも誤った情報です。気になる部位の筋トレを行っても、部分痩せの効果は望めません。
基本的に、からだ内にある脂肪は全からだ的に少しずつ減っていくものであるため、気になる部分だけを徹底的にトレーニングしたところで、その部分だけ細くなるわけではありません。
部分痩せが成功した!という事例を目にしたり耳にしたりすることもあるかもしれませんが、それは、筋トレによって全からだ的に痩せた結果、気になる部分も引き締まっただけ、ということになります。
部分痩せを目指すのであれば、気になる部分だけを筋トレするのではなく、筋肉のつけ方を”工夫”することで、引き締めることはできます。
部分的に筋トレを行うのではなく、気になる部分への筋肉のつけ方を工夫して、引き締めることを目的としたほうがいいのかもしれません。
脂肪を落としやすくする方法
なかなか落ちないといわれる脂肪。効率よく落とすにはどうすれば良いのでしょうか。
2種目以上の筋トレを組み合わせる
脂肪を落としやすくするには、気になる部位の筋肉をつける筋トレを2種類以上行うのが効果的です。2種目以上の筋トレのあとに有酸素運動を行うとさらに効果は倍増。
筋トレによってアドレナリンが分泌されるので、その勢いで軽く有酸素運動をすれば、そのまま脂肪燃焼に直結させることができ、効率よく脂肪を落とすことにつながるのです。
筋トレと有酸素運動の組み合わせは、筋肉量を増やし、脂肪燃焼を促す方法として非常に高い効果を得ることができるといえます。
痩せるからだの仕組みを知る
ダイエットの知識として、からだの痩せ方のメカニズムを知っておくと良いでしょう。そのメカニズムを知っておくと、筋トレのモチベーションを維持するのにも役に立ちます。
■内臓脂肪と皮下脂肪
まずおさえておきたいのが、内臓脂肪と皮下脂肪の違いです。
・内臓脂肪
内臓脂肪とは胃や腸などの臓器の周りについている脂肪です。体にエネルギーが必要になるとすぐに変換されるため「つきやすく、落ちやすい」といわれています。
・皮下脂肪
皮下脂肪とは、おしりや下腹部などの皮下についている脂肪です。外的刺激からの保護や体温を保つ働きをしており、「一度つくと落ちにくい」といわれています。
脂肪が落ちるときには、まず内臓脂肪が落ち、その後ゆるやかに皮下脂肪が落ちていきます。運動や食事制限をしているのに、目に見えている脂肪がなかなか落ちないと悩んでいる人でも、実は内臓脂肪は減っているのかもしれません。
内臓脂肪が多くなると、健康被害をきたすため、からだは内臓脂肪から減らすようにできているのです。皮下脂肪は落ちにくいので、すぐに落ちなくても落ち込むことはありません。その間にダイエットをあきらめてしまわないように、「今はまだ内臓脂肪が減っているから目に見えないだけ」と言い聞かせて頑張りましょう。
■痩せやすい部位と痩せにくい部位
からだの部位にも痩せやすい部位と痩せにくい部位があります。痩せやすい順にからだの部位を並べてみましょう。
➀手首・足首
②前腕
➂ふくらはぎ
④肩・上腕
⑤太もも
⑥胸
⑦おなか
⑧おしり
①~⑧まで並べてみると、体の外側から痩せやすく、内側に向かって脂肪がつきやすい部位ほど痩せにくいことがわかります。
腕や肩、ふくらはぎは比較的痩せやすいといわれており、運動や食事への意識で早めに変化を感じられるでしょう。反対に、もっとも痩せにくいおなかやおしりは皮下脂肪が溜まりやすく、ダイエットでも効果を感じられるまでには長い時間と継続が必要です。
おなかやおしりはいち早く痩せたいと思う部位ですが、なかなか痩せられないためモチベーションを維持できなくなってしまう人も多いのではないでしょうか。しかしこのメカニズムを知っていれば、おなかやおしりが痩せるのは最後だと割り切ることができるので、ダイエットのモチベーションの継続にもつながりますね。
まとめ
さて今回は筋肉を落とさずに脂肪を落とす食事方法についてご紹介しました。男性なら、筋肉はちゃんとあったほうがいいと考える人が多いと思います。
ダンディハウスなら、ダイエットのサポートも充実。知識についてもきちんと教えてくれるので、正しい知識で効率の良いダイエットを行うことができます。自分の力だけでは痩せることができないと悩んでいる人は、ぜひ一度ダンディハウスにご相談ください。
【この記事の監修医師】
東京女子医科大学病院、および関連病院で内科、循環器科、睡眠科として診療にあたるほか、 嘱託産業医として企業の健康経営にも携わる 木村眞樹子先生